2018年6月28日木曜日

第8回期日(口頭弁論)の概要報告

 国に対しマイナンバー制度のプライバシー侵害などを訴える「マイナンバー(共通番号)違憲訴訟@神奈川」の第8回期日(口頭弁論)が2018年6月21日、横浜地方裁判所101号法廷で開かれました。当日は原告、傍聴者、原告代理人(弁護士)など84名が参集しました。
 
 はじめに、原告側が提出した準備書面の確認を行いました。裁判長は、原告が主張してきた「情報提供ネットワークシステム」(コアシステム)の安全性の欠如などによる個人情報漏洩の危険性について関心がある様子で、被告・国側に対して「今後、システムの安全性を立証する予定はあるか」と問いました。国側の代理人は「予定はない。前回(第7回期日)で提出した準備書面が最終書面だ」と答えました。

個人情報保護委員会の機能不全は「極限に達している」

 次に、原告代理人の小賀坂弁護士が陳述を行い、今年3月に発覚した日本年金機構(以下:機構)の再委託問題における「個人情報保護委員会」の機能不全の実態を追及しました。
 「個人情報保護委員会」とは、内閣府の外局として設立した独立性の高い第三者機関で、行政機関や事業者での個人情報の取扱いに対する監視・監督権限を持ちます。
 再委託問題に関しては、機構は番号法の定める委託会社(SAY企画)の監督義務があるにも関わらず、それ果たさず、▽契約や個人情報保護評価で禁止している再委託、▽契約で確認した人員より大幅に少ない人員での入力作業――などの違法行為を見逃しました。その結果、8万4千人のデータ入力漏れがあり、7万9千人の年金支給額に影響が出ました。こうした事態が起きたにも関わらず、個人情報保護委員会は機構に対して指導・助言、立入り検査といった権限を何ら行使していません。
 小賀坂さんは「個人情報保護委員会の機能不全の程度は極限に達している」と指摘。委員会の体制だけでなくマイナンバー制度そのものの構造不備などを追及しました。また、住基ネット最高裁判決は、▽刑罰による犯罪抑止、▽監視機関の設置による適切な制度運用――などを合憲性の要件としています。この点からも、個人情報委員会の機能不全がマイナンバー制度の違憲性を明白にしたと訴えました。

マイナンバーで業務激増 困却する自治体の現場

 続いて、原告を代表して大磯町議会議員の鈴木京子さんが意見陳述を行いました。
 大磯町は昨年、住民税特別徴収税額通知書(特徴通知)の誤送付・マイナンバー漏洩を起こしてしまった自治体です。この原因として、鈴木さんは、▽役場内で制度運用の認識が徹底されていない、▽マイナンバー対応により役場の業務が激増し、構造的にミスが起きる状態になっている――など、国が法廷受託事務として自治体に押し付けた事務量の過重さによって困却している自治体の実情を訴えました。
 大磯町では、保育料の算定時を例にあげ、マイナンバーの利便性が発揮されているといいますが、リスクとベネフィットを考えればマイナンバー制度を廃止したほうが国民の利益につながるとの考えを示しました。

「原告の主張に答えるべき」 不誠実な国の態度を批難

 裁判長は、「互いの主張も概ね出され、裁判も終局に来ている」との認識を示しました。そして原告側が申し入れた立証予定の人証申請について確認。裁判長は「証人3」の地方公共団体の個人情報保護審議会委員(現職または元職)の人選に関心を示したようでした。
 小賀坂さんは国側に対し、▽住基ネット最高裁判決の判断構造の問題(準備書面11)、▽個人情報保護委員会の機能不全(準備書面15)――については、原告側から合憲性の要件を満たさないことを具体的に主張したものであり、最低でもこの2点については国側として反論すべきだと求めました。しかし、国側は「先ほども言った通り、反論(書面提出)する予定はない」の一点張り。機構と個人情報保護委員会の問題についても「調査中」として、反論を拒否しました。小賀坂さんは、「原告はマイナンバー制度に対する懸念を合理的に表明している。しっかりと答えるべきだ」と、国側の不誠実な態度を追及しました。裁判長は「(書面提出を)強制はできない」との一言で、一連のやりとりを制しました。

 裁判終了後には、開港記念会館に移動して報告集会を開催。裁判内容の報告などの後、次回期日の日程(2018年10月25日)を確認しました。

※写真は報告集会の様子です


2018年6月20日水曜日

資料:2018.6.21第8回期日

準備書面13「被告第2準備書面の反論、最高裁判決を踏まえた主張等」
準備書面14「被告第2準備書面の事故事例部分に対する再反論等」
準備書面15「個人情報保護委員会の機能不全」
意見陳述要旨(原告:鈴木京子氏)

資料室(更新:2018年6月20日)

[原告の提出書類]

<2018.6.21 第8回期日> NEW

準備書面13「被告第2準備書面の反論、最高裁判決を踏まえた主張等」
準備書面14「被告第2準備書面の事故事例部分に対する再反論等」
準備書面15「個人情報保護委員会の機能不全」
意見陳述要旨(原告:鈴木京子氏)

<2018.3.29 第7回期日>

準備書面12「事故事例の補充の主張・立証」
意見陳述要旨(原告代理人:小林弁護士)
証拠説明書(甲41の1~24)
意見陳述要旨(原告:知念氏)

<2017.12.21 第6回期日>

求釈明書
準備書面10「情報提供NWSの運用開始時期について」
準備書面11「本件における違憲審査基準について」
意見陳述要旨(原告代理人:小賀坂弁護士)
証拠説明書5(甲38)
証拠説明書6(甲39-40)
甲38-40証
意見陳述要旨(原告:中森氏)

<2017.9.14 第5回期日>

準備書面7 「被告第1準備書面に対する反論」
意見陳述要旨(原告代理人:竹本弁護士)
準備書面8 「被告第1準備書面 、 事故事例部分に対する反論等」
→関連:別紙 特別徴収税額通知書の誤送付例
意見陳述要旨(原告代理人:小林弁護士)
準備書面9 「被告の主張する個人情報保護措置が極めて不十分であること」
意見陳述要旨(原告代理人:小賀坂弁護士)
証拠説明書(4) → 甲22から甲37
意見陳述要旨(原告:成澤氏)

<2017.5.17 第4回期日>

準備書面6 「マイナンバー制度に関連する事故例のさらな紹介」
意見陳述要旨(原告代理人:小林弁護士)

<2017.2.9 第3回期日>

準備書面4「住基ネット最高裁判決を踏まえた主張」+「証拠説明書(2)」
→関連:意見陳述要旨(原告代理人:石畑弁護士 憲法論・秘匿性)
→関連:意見陳述要旨(原告代理人:竹本弁護士 目的論)
→関連:意見陳述要旨(原告代理人:大野弁護士 情報漏洩の危険性等)
準備書面5「情報提供ネットワークシステムの根元的問題点等」
→関連:意見陳述要旨(原告代理人:小賀坂弁護士 国によるシステム管理の問題等)
意見陳述要旨(原告:辻村氏)

<2016.10.13 第2回期日>

準備書面1「答弁書に対する認否とプライバシー権について」
準備書面2「マイナンバー制度に関連する事故例の紹介」
→関連:意見陳述要旨(原告代理人:鈴木弁護士)
準備書面3「情報ネットワークシステムの概要と問題点」
意見陳述要旨(原告:鈴木氏)

<2016.6.23 第1回期日>

意見陳述要旨1(原告代理人:小賀坂弁護士)
意見陳述要旨2(原告代理人:大野弁護士)
意見陳述要旨3(原告:宮崎氏)
意見陳述要旨4(原告:藤田氏)

<2016.3.24 提訴>

 訴状「マイナンバー(個人番号)利用差止等請求事件」

[被告(国)の提出書類]

<2018.3.29 第7回期日> NEW

<2017.5.18 第4回期日>

→関連 乙9乙10乙11乙12乙13乙14乙15乙16乙17乙18乙19

<2016.6.23 第1回期日>

答弁書+証拠説明書

[その他]

<2016.5.20 決起集会>

原告団申し合わせ事項「マイナンバー(共通番号)違憲訴訟に勝利するために」

2018年6月6日水曜日

第8回期日(2018年6月21日)のお知らせと傍聴のお願い

 今回の期日では、相変わらず不誠実な国の準備書面に対する弁護団の反論に加え、今年3月に発覚した年金機構の委託問題から見えてきた制度の欠陥性についても陳述する予定です。前回は裁判長の訴訟の終幕を思わせる発言もありました。ここで訴訟にかける私たち原告の姿を見せていきたいと思います。終了後、報告集会も行います。お忙しいとは思いますが、ぜひ傍聴にお集まりください。

日時 2018年6月21日(木)11時開廷
場所 横浜地方裁判所101号法廷
集合 10時30分までにお集まりください

[ご注意]
 裁判所の入口が日本大通り側(開港記念会館と反対側)のみになりました。また入口で「荷物検査」も行われることになりました。

★報告集会を裁判終了後、横浜開港記念会館9号室で開催します

(地図 google map)
  

原告団通信(バックナンバー)

No.1(2016.9.15)
No.2(2016.12.14)
No.3(2017.4.14)
No.4
No.5(2017.11.30)
No.6(2018.3.11)
No.7(2018.6.7)

2018年4月5日木曜日

第7回期日(口頭弁論)の概要報告

 国に対しマイナンバー制度のプライバシー侵害などを訴える「マイナンバー(共通番号)違憲訴訟@神奈川」の第7回期日(口頭弁論)が2018年3月29日、横浜地方裁判所101号法廷で開かれました。当日は原告、傍聴者、原告代理人(弁護士)など75名が参集しました。
 はじめに、昨年末の第三次提訴との併合を確認し、原告数は230名となりました。

あまりにも多すぎる漏洩事故 「極めて異常な事態」


 次に、原告代理人の小林弁護士が準備書面に基づき陳述しました。小林さんは、川崎・横浜で起こった番号カードの紛失、鶴見区役所のカード交付用PCの紛失など、この半年間に県内で起こったマイナンバー漏洩事故を紹介。全国的に見ても自治体による漏えい事故が頻発している実態を露呈しました。
 裁判が始まって2年に満たない間に、原告から漏えい事故に関する準備書面が4つも提出できてしまうこと自体、「極めて異常な事態」だと糾弾しました。
 途中、被告・国側の指定代理人から「準備書面に記載のないことを述べている」という、ヤジとも取れる発言がありましたが、裁判長は「問題ない」と制しました。

 続いて、原告を代表して神奈川県保険医協会事務局の知念哲さんが意見陳述を行いました。知念さんは、住民税特別徴収税額通知書(以下:特徴通知)へのマイナンバー記載を巡る動向・経過について詳述しました。
 ▽特徴通知へのマイナンバー記載が無用なものであり漏洩リスクなどを高めると、多くの国民・団体が予見・主張していたにも関わらず、総務省は自治体に強行するよう指示。▽その結果、全国で104の自治体が誤送付を起こし、687名分のマイナンバーが漏洩。▽漏えい多発を受けて、マイナンバー記載中止を求める声は一層高まり、昨年末には総務省も「書面の特徴通知へのマイナンバー記載は当面行わない」と方針転換を余儀なくされました。
 この件で事業者や国民は目的に見合わない負担や漏えいリスクを強要させられたとし、「マイナンバー制度の問題を浮き彫りにした象徴的な事象」と指摘。最後に、裁判所にプライバシー権を優先した判決を求めました。

 裁判長は原告側に「提訴から2年。今後の審理をどう進めていくのか」と、裁判の終幕を見据えたような質問をしました。小賀坂弁護士は「国側が今回提出した準備書面への反論書面を提出する。また証人申請も視野に入れている」と回答しました。

不誠実な国側の反論 世論喚起が重要


裁判終了後、開港記念会館に移動し、報告集会を開催しました。その中で、小賀坂弁護士は国側が事前に提出した準備書面(原告主張への反論)について、「こちらの主張の半分も答えていない。極めて不誠実なものであり、バカにされている」と憤慨しました。
 ただ、こうした国の不誠実な態度・対応は、マイナンバーの問題が裁判の中でしか議論されておらず、マスコミや国民も無関心であることが要因だと指摘。裁判を勝利するためにも、運動によるマイナンバー問題の周知、問題提起、世論喚起が重要だと説きました。
 最後に次回期日の日程(2018年6月21日)を確認し、終了しました。

※写真は報告集会の様子です




2018年3月26日月曜日