2017年10月2日月曜日

第5回期日(口頭弁論)の概要報告

 国に対しマイナンバー制度のプライバシー侵害などを訴える「マイナンバー(共通番号)違憲訴訟@神奈川」の第5回期日(口頭弁論)が2017年9月14日、横浜地方裁判所101号法廷で開かれました。当日は原告、傍聴者、原告代理人(弁護士)など98名が参集しました。

 はじめに、前回の期日で被告・国が提出した準備書面(原告主張への反論)に対し、原告代理人3名が再反論の意見陳述を行いました。
 竹本弁護士は、▽過去の最高裁判決の曲解、▽客観的な分析のない費用対効果論、▽国民の利便性などの疑問と個人番号カードの普及停滞の現実――などを指摘しました。
 続いて小林弁護士が、マイナンバーの漏洩を黙認する国の主張を指弾しました。
 小賀坂弁護士は、個人情報の保護措置が極めて不十分だと指摘。提供・収集の制限には広範な適用除外が設けられ、警察の捜査利用は無制限なことなど、番号法の欠陥を挙げました。
 いずれの陳述も、国の準備書面は原告の主張を曲解・無視した「不誠実なものだ」と反論しました。

 次に、出版社の代表取締役を務める成澤壽信さんが原告を代表して意見陳述しました。成澤さんは、小規模出版社でも年間600を超える著者のマイナンバーの収集・管理が義務付けられ、重い負担や不安が圧し掛かっている現状を訴えました。また、警察捜査では被疑者の携帯電話を差し押さえ、行動記録を無制限に収集し圧力を掛けている実態を批難。マイナンバーを使って国民管理・監視がさらに強化されることに懸念を示し、「社会生活上のGPSだ」と表現しました。最後に、人権の最後の砦である裁判所の適切な判断を求めました。

国代理人が開き直り発言「何を認否しろと?」 虚偽の弁論も
知的怠慢、不誠実な態度に場内騒然

 小賀坂弁護士は、国の準備書面が原告側の主張の大半を無視したものであり、改めて原告主張に対する個別具体的な認否を要求しました。これに対し国の指定代理人は「何を認否しろというのか理解できない」と、開き直りともとれる発言をしました。また、原告が指摘した情報連携システムの運用の遅滞についても「7月18日から本格運用している」と虚偽の弁論をし、法廷内は一時騒然としました。
 裁判長は今後の裁判進行について、原告側に「個別の主張については国側に求釈明を求めてはどうか」と提案。小賀坂弁護士は求釈明も含めて検討すると答えました。

 裁判終了後には開港記念会館に移動し、報告集会を開催。裁判内容の報告などの後、次回期日の日程(12月21日)を確認し、終了しました。


* 国や自治体などによるマイナンバーでの情報連携の試験運用が7月18日から開始。本格運用は今秋からとされているが、具体的な開始日は未定。詳細は内閣府ウェブサイト「マイナンバー制度における情報連携の試行運用開始について」を参照。


※写真は報告集会の様子です