2018年4月5日木曜日

第7回期日(口頭弁論)の概要報告

 国に対しマイナンバー制度のプライバシー侵害などを訴える「マイナンバー(共通番号)違憲訴訟@神奈川」の第7回期日(口頭弁論)が2018年3月29日、横浜地方裁判所101号法廷で開かれました。当日は原告、傍聴者、原告代理人(弁護士)など75名が参集しました。
 はじめに、昨年末の第三次提訴との併合を確認し、原告数は230名となりました。

あまりにも多すぎる漏洩事故 「極めて異常な事態」


 次に、原告代理人の小林弁護士が準備書面に基づき陳述しました。小林さんは、川崎・横浜で起こった番号カードの紛失、鶴見区役所のカード交付用PCの紛失など、この半年間に県内で起こったマイナンバー漏洩事故を紹介。全国的に見ても自治体による漏えい事故が頻発している実態を露呈しました。
 裁判が始まって2年に満たない間に、原告から漏えい事故に関する準備書面が4つも提出できてしまうこと自体、「極めて異常な事態」だと糾弾しました。
 途中、被告・国側の指定代理人から「準備書面に記載のないことを述べている」という、ヤジとも取れる発言がありましたが、裁判長は「問題ない」と制しました。

 続いて、原告を代表して神奈川県保険医協会事務局の知念哲さんが意見陳述を行いました。知念さんは、住民税特別徴収税額通知書(以下:特徴通知)へのマイナンバー記載を巡る動向・経過について詳述しました。
 ▽特徴通知へのマイナンバー記載が無用なものであり漏洩リスクなどを高めると、多くの国民・団体が予見・主張していたにも関わらず、総務省は自治体に強行するよう指示。▽その結果、全国で104の自治体が誤送付を起こし、687名分のマイナンバーが漏洩。▽漏えい多発を受けて、マイナンバー記載中止を求める声は一層高まり、昨年末には総務省も「書面の特徴通知へのマイナンバー記載は当面行わない」と方針転換を余儀なくされました。
 この件で事業者や国民は目的に見合わない負担や漏えいリスクを強要させられたとし、「マイナンバー制度の問題を浮き彫りにした象徴的な事象」と指摘。最後に、裁判所にプライバシー権を優先した判決を求めました。

 裁判長は原告側に「提訴から2年。今後の審理をどう進めていくのか」と、裁判の終幕を見据えたような質問をしました。小賀坂弁護士は「国側が今回提出した準備書面への反論書面を提出する。また証人申請も視野に入れている」と回答しました。

不誠実な国側の反論 世論喚起が重要


裁判終了後、開港記念会館に移動し、報告集会を開催しました。その中で、小賀坂弁護士は国側が事前に提出した準備書面(原告主張への反論)について、「こちらの主張の半分も答えていない。極めて不誠実なものであり、バカにされている」と憤慨しました。
 ただ、こうした国の不誠実な態度・対応は、マイナンバーの問題が裁判の中でしか議論されておらず、マスコミや国民も無関心であることが要因だと指摘。裁判を勝利するためにも、運動によるマイナンバー問題の周知、問題提起、世論喚起が重要だと説きました。
 最後に次回期日の日程(2018年6月21日)を確認し、終了しました。

※写真は報告集会の様子です