国に対してマイナンバー制度の人権侵害等を訴える「マイナンバー(共通番号)違憲訴訟@神奈川」の第11回期日が2019年3月7日、横浜地裁・101号法廷で開廷。朝から雨が降る中、原告・傍聴者など105名が参集し、午前中は傍聴席が満席となりました。
全国の同訴訟で初の証人尋問
証人・原告の3名がマイナンバーの問題点、違憲性を熱弁
この日は、全国8地裁で係争中の同訴訟では初となる人証尋問が1日掛かりで行われました。
午前は証人の森田明さん(弁護士)が、マイナンバー制度に係る行政事務等の実情を踏まえて証言【森田さん意見書】。特に自身が委員を務める県の情報公開・個人情報保護審議会で携わってきた、各種行政事務の特定個人情報保護評価の策定・審査等について、▽自己評価の限界、▽評価書の難解さ、▽意見公募の形骸化――等の問題点を指摘しました。
午後に入り、証人の原田富弘さん(自治体職員)が証言【原田さん意見書】。▽情報連携システムの仕組みと問題点、▽自治体事務の負担増大の実態、▽相次ぐマイナンバー漏洩事故の発生とその原因――等を詳述しました。
続いて、原告本人の宮崎俊郎さんが証言。番号で一元管理された個人情報で人格形成がなされることの嫌悪感を訴え、マイナンバー制度という巨大な情報システムに参加しないという選択権を主張しました。
続いて、原告本人の宮崎俊郎さんが証言。番号で一元管理された個人情報で人格形成がなされることの嫌悪感を訴え、マイナンバー制度という巨大な情報システムに参加しないという選択権を主張しました。
些末な国側の尋問、左陪席裁判官は居眠り…
被告、司法の怠慢な態度に怒り
証人に対する被告・国の代理人の反対尋問は、証人の意見書の文言に対して揚げ足を取るような些末な質問ばかりでした。そればかりか、原告の宮崎さんに対しては反対尋問をしないという、高慢な態度でした。
裁判所においては、事前協議の段階で、証人尋問に使う書類をモニターに映し出す映写機の使用を禁止するという、原告・傍聴者への配慮に欠けた対応でした。また当日は、裁判長の隣に座る左陪席裁判官(主に判決文の起案を担当)が尋問中に居眠りをするという、司法側の怠惰な態度も見られました。
次回期日で結審
3名の人証尋問が終わり、裁判長から次回期日(6月20日午前11時~)での結審が言い渡されました。原告側は、▽最終準備書面の提出、▽最終弁論、▽原告複数名の意見陳述――を要求。次回期日の前に調整することとなりました。
裁判終了後には波止場会館で報告集会を開催。弁護団代表の小賀坂弁護士が裁判の報告とともに、結審に向けて原告一同の決起を呼びかけました。またこの日は、大阪訴訟、福岡訴訟の弁護団も遠くから参加され、勝訴に向けて全国一丸の取り組みを呼びかけました。
報告集会の終了後には、同じ波止場会館内の食堂で懇親会を開き、この日のために数カ月も準備と打ち合わせを重ねてきた証人・原告の3名と弁護団を慰労しました。
報告集会(動画) 提供:JOURNAL ASIA
写真は報告集会の様子です